足首の調整について
専門的には、足首のことを足関節と呼びます。
少し詳しくみますと、膝から下は脛骨+腓骨という骨があります。
それらの脛骨・腓骨と足部とで形成される関節のことを「距腿関節」と呼びまして、通常はここを足関節として扱います。
この距腿関節の関節面を構成しているのが「距骨」という骨です。
さらに距骨の下に「踵骨」があり、距骨と踵骨の2つの骨で足部の「後足部」が形成されるわけです。
後足部が距骨と踵骨の重なった2層構造である、ということは足部の機能構造を考える上で非常に大事な要素です。
足部には、〝バネとしての弾力性〟と〝土台としての安定性〟が求められます。
まず足部の〝バネとしての役割〟から見てみます。
この役割は、後足部の上位である距骨より先の、土踏まずの拇趾側の内側縦アーチになります。
すなわち距骨の前方に関節する「舟状骨」と、舟状骨の前方に関節する3つの「楔状骨」。
そして楔状骨の先で拇趾・示趾・中趾を形成する3趾分の趾骨。
これらの骨が土踏まずの内側アーチを描きます。
距骨が踵骨の上に乗っていることにより、踵骨の高さの分だけアーチになります。
アーチが高いということは、そのアーチに体重が乗った時に、たわんで衝撃を分散する余地が大きい,
また戻ろうとする反発力も強いことを意味します。
こういう構造的な特徴を踏まえると、ダッシュの時やジャンプの時など
〝下半身のバネ〟を使いたい状況では、母趾側への「内側荷重」で圧を分散と推進力を得るべきと言えるのです。
次に、踵骨の先に連なる、小趾側の外側縦アーチを見てみます。
こちらはアーチといっても、「第5中足骨粗面」が突出した分くらいの高さしかありません。
関節は踵骨の前方の「立方骨」と、立方骨の先の環趾・小趾を形成する2趾分の趾骨です。
アーチを分節する関節数も母趾側よりは少なくなります。
アーチの低さとアーチ内の分節の少なさ、
この特徴は、バネとして使うには構造的に不向きなことを表しています。
逆に考えると、体重が乗ってきても変形は小さいので、〝土台としての安定性〟はあります。
踵骨は後足部における土台であり、その踵骨に連続した外側の二趾も土台として使うのに適した構造といえるでしょう。
静止している時に限定していえば、小趾側に体重をかける「外側荷重」がいいでしょう。
あと気になる点は〝脛骨と踵骨の軸のズレ〟です。
正常な足は、〝脛骨の軸ライン〟と荷重ラインは重なります。
しかし、〝踵骨の軸〟は脛骨の軸の直下にはありません。
わずかに外側にずれており、「踵骨の軸は荷重線から少し外側に外れている」のです。
ですから歩行など、足を地面に着地する時、荷重は脛骨の軸を伝わり距骨を内下方に押し出すようにして、踵骨より少し内側の地面を目指します。
この際に踵骨は内倒れになって、足首が外反します。
そして、内下方に押し出された距骨は、舟状骨や楔状骨も下方に押し下げます。
その結果、土踏まずの内側アーチが潰れながら前後に伸びて、衝撃を分散しつつ元に戻ろうとする反発力を高めます。
これが歩行や跳躍における推進力の助けとなるのです。
つまり、距骨から土踏まずの内側アーチにかけてのバネが、歩行など効率よく機能するように踵骨の軸の位置はあるのです。
足裏の内側や外側へ重心を移動しながら、足は使われています。
しかし、重心の掛け方にもクセがある人がいます。
たとえば、距骨が内下方に落ち込んで土踏まずの内側アーチが潰れたままである「偏平足」。
こういう足は踵骨も内倒れになったままのことが多く、「外反足」と呼びます。
また逆で、内側アーチが高い状態で固定され潰れづらくなった「ハイアーチ」。
この場合は踵骨を見ると外倒れで外側に偏った「内反足」になっていることが多いです。
そこで、足首調整です。
内反足の調整です。
うつ伏せの状態でします。
膝関節を90度に曲げます。
片方の手で外踝下縁に拇指を引っかけ外踝を包むように把持します。
逆手で踵骨の内側面を把持しながら前腕を足底に乗せます。
足底に乗せた前腕で足関節を背屈させながら、踵骨を立てるようにひきます。
同時に外踝下縁に引っかけた拇指で腓骨の上+後方移動を誘導しつつ、外踝を外から内方向に押さえます。
続いて外反足の調整法になります。
膝関節を90度に曲げます。
片方の手で内踝下縁に拇指を引っかけつつ内踝を包むように把持し、逆手で踵骨の外側面を把持しながら前腕を足の甲に引っかけます。
足の甲に引っかけた前腕で足関節を底屈させながら、踵骨を立てるように引きます。
同時に脛骨を外旋方向に押さえつつ、内踝下縁に引っかけた拇指で距骨を内から外へ押し込みます。