筋肉内には大きく分けて2種類のセンサーがあります。
「筋紡錘」と「腱紡錘(ゴルジ腱器官)」です。
筋紡錘は、筋肉内に散在する筋組織の長さや張力を感知する固有受容器です。筋紡錘内にある筋線維を錘内筋線維と呼びます。また、筋紡錘外の、直接筋力発揮に関する筋線維を特に錘外筋線維と呼ぶことがあります。筋紡錘の中には感覚神経の端末が存在し、筋の内部に発生する張力などを感知します。
錘内筋線維はγ運動ニューロンの支配を受けています。α運動ニューロン は基本的に脊髄からのインパルスを錘外筋線維へ伝え、動きを起こす役割をもつが、γ運動ニューロンは錘内筋線維の収縮をコントロールし、筋長の変化に対する筋紡錘の感度を調節します。
筋が収縮し、筋に張力が発生すると筋紡錘が伸張されます。このときに張力が長さの形で感知され、中枢神経系にインパルスが戻されます。求心性神経はα運動ニューロンとγ運動ニューロンの両方にシナプス結合するので、これによって錘外筋線維と錘内筋線維の両方の収縮が引き起こされます。
筋紡錘の機能
筋紡錘の機能は筋線維が過度に伸張するのを防ぐことです。例えば上腕三頭筋が収縮するとき、上腕二頭筋は伸張されるが、このことによって上腕二頭筋内に張力が生じ、筋線維の長さの変化を錘内筋線維が感知します。この信号は脊髄に戻され、錘内筋線維や錘外筋線維が収縮します。これは反射による収縮であり、一種の防御機構です。
筋紡錘は、筋線維と平行に並んでいます。
筋肉の末端から中央部に存在します。
ストレッチされると、筋肉と一緒に伸ばされます。
このセンサーの役割は、筋肉の長さの感知です。
急激に伸ばされたら反応して、筋肉を守ろうとするため、筋肉を縮めます。
この反応は伸張反射と呼んでいます。
実際、ストレッチするときにこの反応が出ればかえって縮みますよね。
無理やりガッと伸ばすのはあまりよろしくないということです。
1秒に5度動かすくらいのゆっくりした動きだと、伸張反射しにくいので、ゆっくりじんわり息を吐きながら伸ばすことを心がけましょう。
ゴルジ腱器官(腱紡錘)
筋と腱の接合部分、あるいは靭帯や関節そのものの中にゴルジ腱器官 があります。このゴルジ腱器官の機能は反射抑制です。筋に非常に高い張力が発生するとそのストレスにより腱が伸長され、ゴルジ腱器官が活動して脊髄に信号をフィードバックし、錘外筋線維を支配するα運動ニューロンの活動を抑制して筋の張力を減少させようとします。過度の張力が筋内に発生すると障害の危険があるので、防御機構の1つであるといえます。
このほか、疲労したときに反射抑制が低下して筋力を維持するために別の運動単位を動員させるような機構も存在します。さらに、ゴルジ腱器官は別々の筋線維の張力を等しくするという役割も持っています。
ゴルジ腱器官は、筋腱移行部の筋肉と腱の境目に多く存在します。
このセンサーは腱に対して垂直に配列されています。
このサンサーの役割は、腱にかかる張力を感知することです。
大きな張力を感じると、運動神経を抑制させ、筋肉をゆるまし、脱力反応を引き起こします。
腱は筋肉の両端に存在します。
筋肉が強く伸ばされているとき、筋肉が強く縮んでいるときの両方で働きます。
筋肉が強く伸ばされたときに、強く収縮させると一番張力が高まり、筋肉はゆるみます。
この原理で、身体を柔軟にするテクニックもあります。