立方骨

「立方骨」

人の身体の中で、こういう名称の骨が存在します。
まさに、立つための重要な骨というイメージですね。
もちろん、ストレッチ整体湧泉でも、立方骨にアプローチします。
足裏のアーチ、外反母趾、足首の歪み、立ち方の改善には必要なところですからね。
実際に、あらゆる専門家が立方骨を重要視されています。
立方骨についての少し詳しい記事がありますので参考にしてください。


足部を理解する上で欠かすことが出来ないのが立方骨。
立方骨は足の総締めの骨とも言われ、屋台骨として足部を支えています。
立方骨は、足の剛性を決定するキーストーンとして働きます。
立方骨を学ぶことで、立方骨の重要性が理解でき、ひいては足部の理解の助けになります。

立方骨は踵骨の前方外側にあります。
立方骨自体は下図のようなテント状の形をしています。

内側には、舟状骨と楔状骨が存在し、遠位には、第4,5中足骨があります。

足部の特徴は多くの骨が存在していることですが、立方骨周囲にも多くの骨があり、それらと接触を持ち関節を形成しています。
踵骨とは踵立方関節を、舟状骨とは立舟関節を、楔状骨とは楔立方関節を、第4,5中足骨とは足根中足関節を形成します。

踵立方関節(踵骨)
立舟関節(舟状骨)
楔立方関節(楔状骨)
足根中足関節(第4&5中足骨)

立舟関節、楔立方関節はほとんど可動性を持ちません。
さらに、立方骨はショパール関節(=横足根関節)と呼ばれる踵骨、距骨、舟状骨、立方骨で形成される関節にも加わります。
関節を形成するのは1対1のイメージがありますが、このように4つで形成するものもあります。
分類上は、平面関節とされています。

ショパール関節=距舟関節+踵立方関節であると覚えておきましょう。

足部全体の動きを決定づける後足部と中足部。 そこに関わるのは、距骨下関節と横足根関節です。 距骨下関節と横足根関節は共同して動き、足部全体の柔らかい足モードと硬い足モードを決定します。


立方骨と筋
立方骨は4つ(もしくは5つ)の筋に付着部を提供しています。
小趾対立筋
母子内転筋斜頭
後脛骨筋
長腓骨筋
(短趾屈筋)

長腓骨筋

長腓骨筋は腱鞘を介して立方骨と癒合しています。
立方骨の下面に付着することで、立方骨の内旋の動きに関わり、立方骨の締りの位置を作り、踵立方関節のロッキングメカニズムを起こします。


立方骨と靭帯
立方骨に付着する靭帯は6つあります。
多くの関節を形成することから、それだけ靭帯の下図も多いということですね。
足根中足靭帯
楔立方靭帯
立方舟靭帯
底側踵立方靭帯
背側踵立方靭帯
長足底靭帯


立方骨と外側縦アーチ
立方骨は、外側縦アーチを構成する骨の1つで、要石(=キーストーン)とされています。
外側アーチは、第5中足骨、立方骨、踵骨で形成されます。


そして、ここが重要な点ですが、立方骨のポジションは外側縦アーチだけでなく、内側縦アーチ、足根骨部の横アーチにも影響を及ぼします。
外側に体重をかけて立つ癖が強い場合、(特に右足に多い)必要以上に外側部に荷重がかかり、外側縦アーチは床面へ沈みます。
この状態が続くと、下面にある脂肪体組織と癒着を起こし、立方骨低下=外側縦アーチが低下します。
立方骨の低下は、楔状骨の外側への移動も誘発してしまいます。
そうすると、中足骨も外側へ移動し、母指球が浮いてきます。
これは、歩行時のプレスイング(プッシュオフ)で、母指球での押し出しを難しくします。
歩行時の理想的な荷重の流れを作ることが出来ず、内側縦アーチを潰しながら内側へ持っていく可能性があります。

理想的な荷重の流れは、踵骨中央からスタートし、外側を通り、親指へ抜けていきます。
距骨下関節表現すると、回外→回内→回外となります。

足部を外転した歩行を見かけると思いますが、その場合、上記のケースが考えられます。
この歩行パターン繰り返しは、下腿~大腿の筋の緊張を引き起こし、下腿外旋を引き起こす可能性があります。
つまり、上行性連鎖により膝の痛みにも繋がることが考えられるということです。


立方骨と足底アーチ

立方骨の位置を観察すると、かなりたくさんの骨と関節を形成していることに気づきます。
下記の4つでしたね。
踵立方関節(踵骨)
足根中足関節(第4&5中足骨)
立舟関節(舟状骨)
楔立方関節(楔状骨)

足部の中で重要な関節、ショパール関節とリスフラン関節が含まれています。
ショパール関節=踵立方関節&距舟関節
リスフラン関節=足根中足関節
この2つは、足部アーチの形成において重要な要素です。

足底アーチの観点で考えると、ショパール関節レベルの横アーチ、リスフラン関節レベルの横アーチ、外側縦アーチの3つのアーチに直接関与しています。
間接的には、中足骨頭レベルの横アーチ、内側縦アーチにも関与しています。
実に5つのアーチに関与しており、立方骨のポジション次第でアーチが左右されることが想像出来ます。
足部の機能としての役割は、アーチを下げて柔らかい状態にしたり、挙げて強固にしたりすることで衝撃吸収と力の発揮をしていると言い切れます。
そのアーチに大きく関与していることから立方骨の重要性が伺えます。


立方骨の低下

では、立方骨の低下がなぜ起こるのでしょうか。
それは、距骨下関節の状態が関わっています。
距骨下関節が過剰回内位(いわゆる内側縦アーチが潰れた状態)にある場合、立方骨の過剰な内旋と低下が起きます。
これは運動連鎖で引き起こされるものであり、現場レベルでも回内足の方は外側縦アーチも低下しているケースがみられます。
一見、足が内側に傾いたら外側は浮いてきそうな感じがしますが、実際は運動連鎖でにより外側も低下します。
距骨下関節の状態が立方骨に作用しますが、実際に立方骨が影響を受けるのは踵立方関節を通してです。
その踵骨が距骨と関節を形成しているため、距骨下関節が動けば、踵立方関節も動き影響を受けるということです。


ちなみに、立方骨は3面(矢状面、前額面、水平面)ともに可動性が非常に小さいとされています。
文字通り、キーストーンである立方骨は、玉座のごとく”動かない”(動きにくい)ということで固定点としてのポジションを取っています。


立方骨の低下を詳しく
立方骨低下をさらに詳しく分解してみていきましょう。
主に3つの原因が考えられます。
1.ハイアーチ
2.距骨下関節過回内
3.下腿外旋

ハイアーチ
そもそもハイアーチとはなにか。
ハイアーチとは、足底のアーチが高い位置をとっている状態です。(特に内側縦アーチ)
内側の土踏まずがスカッと空いている方はハイアーチに当てはまるといえます。(ざっくり)
その状態では、内側が空いているので、外側に荷重している状態です。
長期間の外側荷重は立方骨を押し下げ、立方骨の低下をつくります。


踵立方関節とハイアーチ
また、ハイアーチの状態は”硬い足”と言われ、力の発揮は出来るが、衝撃吸収能力が低いという特徴を持っています。
本来は、着地の衝撃吸収が出来る必要があり、その際に”柔らかい足”となり、地面を蹴って進む時に”硬い足”となることで推進力を生みます。
そうして、歩行が成り立ち、ヒトとしての直立二足歩行が可能となります。
では、なぜそのような硬い足や柔らかい足の状態になるのか。
立方骨から紐解くと見えてきます。

硬い足の場合、立方骨は、内転内旋位(立方骨自体の動きに主眼をおくと)をとります。
立方骨にとって内旋位は、踵立方関節のロッキングメカニズムにより、締りの位置になります。(靭帯緊張&関節軸の交差により)


この踵骨ロッキングメカニズムは、お隣さんの舟状骨にすぐさま伝わり、距舟関節のロッキングを起こし、足部全体へ波及します。
このことにより、足は”硬いモード”になり、力の発揮を行いやすくなります。
しかし、ハイアーチは硬い足から脱出できない状態です。

距骨下関節過回内
いわゆる扁平足です。(厳密には「回内足」。詳しくはこちらの記事で↓)

過剰な回内足は〇〇の代償を引き起こす
過剰な回内足は〇〇の代償を引き起こす 内側縦アーチの異常形状として、回内足があげられます。 回内足とは、内側縦アーチの後天的で慢性的なアーチの低下を指します。 回内足になると、距骨下関節と横足根関節の過剰な回内を伴って...

回内足は内側のアーチが床に近づいている状態と考えてもらえればマルです。
先程のハイアーチから考えると、内側に荷重するなら、外側が浮くから立方琴は低下しないんでね?とお思いになるでしょうが、そうは問屋が卸しません。
距骨下関節過回内は、距骨の底屈内転、ショパール関節外転、楔状骨外転が起こります。


ショパール関節外転と楔状骨外転は立方骨の低下を招きます。
イメージとしては上から覆いかぶさってくると言えばよいでしょうか。
つまり、距骨下関節過回内でも立方骨の低下は生じるということになります。

下腿外旋
下腿外旋は運動連鎖で考えると分かりやすいです。
下腿外旋は距骨下関節回外にさようしますから、先程のハイアーチよろしく外側荷重となり立方骨低下の原因となります。


3つの原因を改善すると立方骨が挙がる!
原因さえわかれば、解決への方向性は見えたも同然です。
上記の3つの要因を取り除き、アプローチをしていくと改善できそうです。
そのことにより立方骨が挙がり、足のアライメントが整ってきます。
しかし、長期間低下した立方骨は立方骨下の皮下脂肪と癒着しており、そもそもの可動が低下している可能性があります。
つまり、構造的に運動連鎖が起こらなくなっているということです。
その場合には、徒手やツールを利用してそれを解除する必要があります。
まずは、ショパール関節を他動に動かしてみることでどの程度可動性を持っているか確認してみるといいですね。


まとめ
立方骨の重要性が伝わりましたでしょうか?
足部のアライメントが崩れており、なかなか改善が上手く行かない時は、立方骨に着目すると良い結果につながるかもしれません。

立方骨が関与する関節:踵立方関節、足根中足関節、ショパール関節
立方骨に付着する筋:小趾対立筋、母子内転筋斜頭、後脛骨筋、(短趾屈筋) 長腓骨筋は腱鞘を介して立方骨と癒合している
立方骨に付着する靭帯:足根中足靭帯、楔立方靭帯、立方舟靭帯、底側踵立方靭帯、背側踵立方靭帯 、長足底靭帯
立方骨は外側縦アーチを構成する骨であり、キーストーンである
立方骨のポジションは、内側縦アーチと横アーチ形成にも影響する