気の循環(体内循環)

「気」が一定の秩序にしたがって、全身を巡る12のルートを正常に運行していれば健康であり、この運行に異常があれば自ら放水路のような別のルートを使って調節しながら正常に戻そうとします。

このルートのことを経絡とよびます。

正常な12のルートを十二正経、別のルートを八奇脈といいます。

八奇脈のうち、前面の正中線を任脈、後面の正中線を督脈といい、これは異常の放水路ではなく、前面(陰)の経絡と後面(陽)の経絡を統べる働きがあるようです。

気の循環は、1日50回、12ルートをゆっくりと流れていると言われています。

気がこのような正常な流れになるようにすることを、スジを通す!、と言った意味があるそうです。

スジは、漢字では「筋」。

竹に肉と力。

肉の中のスジばったさまを、スジの通った植物の竹をくわえて表現しています。

力は手のスジばったさまで、力を入れるとそうなるので、リキむ・・という言葉にもなります。

経絡の「経」も、まっすぐに張る・・という意味で、3本の縦糸の通っている姿を示しています。

地に経水あり、人に経脈あり・・・と素問で言われていますが、主軸たるルート(経)によって、その秩序の保たれているさまを表現しているのです。

日本語の「スジ」は、一つづきの細長いもの、ものごとの条理、話の骨組みの意味に使われています。

経絡、スジは、生命を保つ上の根本的な役割だという考えなのです。

気の循環が生命の根本的な役割を果たしている。

原始的にみると、植物細胞では原形質が一定の方向に運動している原形質流動がみられますね。

アメーバなどにも体中に原形質流動があり、これにより食物の捕捉をしたり、移動したりしています。

生物の内部が、このようにいささかの静止もなく、たえず動きながら一定の姿を保っているということは、内外の物質代謝とともに生命の基本的な働きであります。

生物が単細胞から多細胞に変化し、高度な秩序が作られていくと同時に、物質代謝の分業と体内流動の事業が見られるようになります。

高等な生物の物質代謝も、基本的には各細胞の細胞膜による物質交換に目的があるように、脈管系の発達で組織化された循環も、細胞内の流動によって生きるエネルギーを得ているわけです。

とすると、単細胞の原形質流動は多細胞でどのような原始的な姿を保っているのでしょうか。

脈管の発達によって物質の流動はより迅速により効率よく行われるようになりますが、体液の移動の大半は脈管外で行われています。

その力は人体で筋肉収縮による作用が大きな役割を果たしているわけですが、さらに原形質そのものの流動によるような、エネルギー自体の移動が根本に残されているはずです。

これが、気の循環とみることができるという考えです!

*体内の循環というと血管内の血液やリンパ管内のリンパ液が全てのように思いがちですが、その管外に出て各細胞への移動、細胞内の移動も含めて循環を考える必要があると思いました。それが、「気」「エネルギー」。*

*便利に高等になると組織化、分業化されますが、そうなると、大元の根本のことを忘れがち。結局は根本がないと成り立たないのに・・。自然と人工みたいのもの。このバランスをどう保つかが健康の鍵である気がしてならない。*