年齢と身体の硬さ

年齢を重ねるとともに身体がかたくなっていく・・。
そう感じる人は多いでしょう。
イメージとしては、年齢とともに
・筋肉量が減少して、肌の水分量は減ってカサカサし、骨がスカスカのもろくなって、体を動かすのが億劫になっていく・・といったところでしょうか。

確かに動かさなくなったら、筋肉などの組織は、萎縮し硬化していきます。
年齢とともに、衰えていく部分はもちろんあります。
しかし、年齢が全ての原因ではありませんよ。
例えば、年をとるとカラダが硬くなるというのも、年齢だけが原因ではありません。
その多くは、運動不足などによる筋委縮・筋緊張などが原因なのです。
中には「子どもの頃はあんなに柔らかかったのに」「赤ちゃんはあんなに柔らかいのに」と思われる方もいるでしょう。
これは、子どもの時期はカラダの成長が完成されておらず、関節や関節周囲の組織がしっかり完成していないため柔らかいのです。
そのため、子どもの頃と比べるのは意味がありません。

カラダを柔らかくするには、運動を行うしかありません。
柔軟性を向上させるにはストレッチ!!中でもスタティック・ストレッチが効果的です。
このストレッチの効果を高めるためには、運動後や入浴後など、筋肉の温度が上がっているときに忘れず実施するとよいでしょう。

体が硬くなる年齢以外の要因は?
・同じ姿勢でいることが多いのでは・・。
デスクワークなど仕事や勉強で同じ姿勢を続けることが多い人は、筋肉を動かす機会が少なく、柔軟性が低くなりがちです。
普段から運動を心がけている人なら問題ありませんが、まったく運動しないといった人はカラダが硬くなる一方といえるでしょう。
たとえ仕事でカラダを動かしている人でも、いつも同じ動きであれば使っていない筋肉は硬くなってしまうので要注意です。

・トレーニング前後のケアが不足しているのでは・・
日頃からトレーニングをしている人でも、トレーニング前後のカラダのケアが不十分であることで柔軟性が低下している人が多いようです。
特にトレーニング後はケアが重要。ストレッチなどを行うことは、筋肉の疲労を改善することともに柔軟性の向上にも繋がります。
・寒さなどの環境による要因
寒さや湿気など血行に影響する外的要因は、柔軟性に大きく関わります。
ただしこれらの外的要因は、自分でコントロールすることができません。
そのため、血行が悪くならないよう着るものに気をつけたり、保温を心がけるといった対策を行うようにしましょう。

カラダが硬い=筋肉によって関節の可動域が狭くなっている
「カラダが硬くなる」というのは、正確にいうと「関節の可動域が狭くなる」ということです。
筋肉、骨、関節、靭帯などの関節周囲にある組織などさまざまな部位の要因が考えられますが、可動域が低下してしまう原因の多くは筋肉によるものです。

・原因1 筋肉の萎縮
筋肉は使わなければ衰え、筋肉を構成する筋線維も短く細くなっていきます。
骨折などでギプス固定をした人は経験があるかもしれませんが、長期間動かさなければ筋肉は委縮し、関節はほとんど動かなくなってしまうのです。
程度の差こそあれ、運動不足などによって動かさない筋肉は同じように硬くなっていきます。
・原因2 筋肉の緊張
可動域は一時的に低下してしまう場合もあります。
それは、筋肉の緊張によるものです。
たとえば草むしりなどでしゃがんだ状態を長時間続けた後、立ち上がったときに腰が伸びないなど。
同じような作業を長時間行った場合、筋肉の疲労によって緊張が高まり、柔軟性を著しく低下させます。
この場合、ある程度の時間が経てば改善することが多いでしょう。ただし、同じような状況を繰り返すことで筋緊張が取れず、だんだん硬くなってしまうということも起こり得ます。
・原因3 ケガや病気の影響
ケガなどによって関節自体や靭帯、関節包などの組織が損傷してしまうと、後遺症で組織が硬く動きにくくなってしまう場合があります。
ケガの痛みはなくなっても、完全に元の状態に戻るということはありません。組織同士の癒着や組織の肥厚など、少なからず何かしら変化は起きているのです。

また、加齢とともに起こる変形性関節症のような疾患も、可動域に大きく関わります。
痛みが出ていなくても変形が進んでいることもあり、それらの変形によって可動域が制限されているということもあるでしょう。

ただ、加齢とともに減少するといわれているのは「基礎代謝量」。
基礎代謝とは心臓を動かしたり呼吸したり体温を保つなど「生きていることを維持するため」に必要なエネルギーで、「ゴロ寝していても絶えず使い続けているエネルギー」のことです。
この基礎代謝は24時間絶え間無く使われ続け、1日の総消費エネルギーのうち、なんと「7割以上」も占めているのです。

このため、「痩せやすく太りにくいからだ(エネルギーをたくさん使うからだ)」であるためには「基礎代謝が高いこと」が絶対条件なのですが、この基礎代謝は、男性で18歳くらい、女性では15歳くらいをピークにその後は年齢とともにどんどん低下します。
からだが成長する時期を過ぎてある程度からだが完成してしまった後は、「維持」のエネルギー以外は必要なくなり、徐々に老化も進んで細胞の生まれ変わりのサイクルが遅くなり、エネルギーをたくさん使う筋肉も減ってしまうからです。

加齢に伴い、個々の細胞やすべての臓器で変化が起こり、体が変化していきます。それにより機能面や外見が変化します。
細胞の老化
細胞が老化するにつれ、機能も衰えます。体の正常な機能の一部として、古い細胞は最終的に死滅します。
古い細胞が死ぬ理由の1つは、そうなるようにプログラムされているからです。細胞の遺伝子には、誘発されれば細胞死に至るような過程がプログラムされています。アポトーシスと呼ばれるこのプログラム死は、いわば細胞の自殺です。細胞の老化は1つの引き金になります。新しい細胞に場所を空けるために、古い細胞は死滅する必要があります。その他の引き金には、細胞数の過剰な増加や、細胞の損傷などがあります。
古い細胞が死ぬ理由は、細胞は限られた回数しか分裂できないからでもあります。この制限は遺伝子によりプログラムされています。細胞はそれ以上分裂できなくなると、膨張し、その後しばらくしてから死にます。細胞分裂を制限する仕組みとして、テロメアという構造が関与しています。テロメアは、細胞分裂の準備過程で細胞の遺伝物質を移動させるのに使用されます。細胞が分裂するたびに、テロメアは少しずつ短くなります。最終的に、テロメアがごく短くなり、細胞がそれ以上分裂できなくなります。
細胞の損傷が直接、細胞死の原因になることがあります。放射線、日光、化学療法薬などの有害物質により、細胞が損傷を受ける場合もあります。細胞は、自身の正常な活動で生成される副産物によっても損傷を受けます。フリーラジカルと呼ばれるこれらの副産物は、細胞がエネルギーを産生するときに放出されます。
知っていますか?

ほとんどの機能低下は通常、老化ではなく病気によって起こります。

臓器の老化
臓器がどの程度良好に機能するかは、そこに存在する細胞がいかにうまく機能するかに依存します。老化した細胞の機能はあまり良好ではありません。また、一部の臓器では、細胞が死滅しても置き換わらないため、細胞数が減少します。精巣、卵巣、肝臓、腎臓の細胞数は、体の老化とともに著しく減少します。細胞数が少なくなりすぎると、臓器は正常に機能しません。このように、ほとんどの臓器の機能は年齢とともに衰えます。しかし、すべての臓器が多数の細胞を失うわけではありません。脳はその一例です。健康な高齢者は多くの脳細胞を失わずにいます。脳細胞の顕著な減少が起こるのは、主に脳卒中を起こした人、またはアルツハイマー病もしくはパーキンソン病などの神経細胞が次第に失われていく病気(神経変性疾患)にかかった人です。
病気によるものであっても、または加齢そのものによるものであっても、臓器の機能低下は他の機能に影響を及ぼす可能性があります。例えば、動脈硬化により腎臓血管が細くなった場合、血流が減少するため、腎機能が低下します。
多くの場合、加齢の最初の徴候は筋骨格系に現れます。眼、続いて耳が中年期の初期に変化し始めます。体の内部の機能も大半は年齢とともに低下します。ほとんどの身体機能は30歳手前でピークに達し、その後、徐々にですが連続的に衰退し始めます。しかし、衰退するものの、たいていの機能は十分維持されます。なぜなら、ほとんどの臓器には最初、体が必要とするよりもずっと多くの余力(機能予備能)があるためです。例えば、肝臓の半分が破壊されたとしても、残りの組織で十分に正常な機能が維持できます。したがって、高齢期の機能低下の大半をもたらしているのは、通常は正常な老化現象ではなく病気です。
ほとんどの機能が十分に維持されていても、機能が低下すると、高齢者は激しい運動、環境の過度の温度変化、病気など、様々なストレスに対処しにくくなります。この衰えは薬の副作用を受けやすくなることを意味します。一部の臓器は、ストレスを受けると、他の臓器よりも機能不全が起こりやすくなります。このような臓器には、心臓、血管、泌尿器(腎臓など)、脳などがあります。
骨と関節
骨密度は低下していく傾向があります。それによって、骨が弱くなり、骨折しやすくなります。女性では閉経後にエストロゲンの生成量が減るため、骨密度の低下が急激に進みます。骨の形成、破壊、再形成という体の正常な過程の中で、エストロゲンは骨が過剰に破壊されるのを防ぐ助けになります。
骨密度の低下の一因として、骨に強度を与えるカルシウム含有量の減少があります。食事から吸収されるカルシウムが少なくなるため、カルシウム量が減少するのです。また、体のカルシウム利用を助けるビタミンD量もわずかに減少します。特定の骨は他の骨より弱くなります。最も影響を受けやすい骨には、大腿骨の股関節側骨端、腕の骨の手首側の骨端(橈骨、尺骨)、脊椎の骨(椎骨)などがあります。
脊椎上部の椎骨の変化により、頭が前に傾き、のどを圧迫します。その結果、飲み込むことが困難になり、窒息しやすくなります。椎骨密度が低下し、その間の組織のクッション(椎間板)は体液を喪失して薄くなり、脊椎が短くなります。これにより、高齢者は背が低くなります。
長年動かしたことによる摩耗や亀裂が一因となり、関節軟骨が薄くなる傾向があります。関節の表面同士が以前のように滑り合わなくなり、関節がいくらか損傷を受けやすくなります。関節を長年使い続けたこと、またはけがを繰り返したことによる軟骨の損傷は、しばしば変形性関節症をもたらしますが、これは晩年に最もよくみられる病気の1つです。
関節同士を結合する靱帯や筋肉と骨を結合する腱では、弾性が低下しがちで、関節が固いまたはこわばった感じがするようになります。これらの組織もまた弱くなります。このように、ほとんどの人で柔軟性が失われていきます。靱帯が断裂しやすくなる傾向があり、断裂した場合の治りが遅くなります。これらの変化が起きるのは、靱帯と腱を維持する細胞の活動性が低くなるためです。
筋肉と体脂肪
筋肉組織の量(筋肉量)と筋力の減少は30歳前後から始まり、生涯続く傾向があります。こうした減少は、筋肉の発達を刺激する成長ホルモンと テストステロンの量が減少することが原因で生じることがあります。また、速筋線維の方が遅筋線維より多く失われるため、筋肉は素早く収縮できなくなります。しかし、成人期において加齢の影響が原因で減少する筋肉量と筋力は約10~15%以下です。これよりも重度の筋肉減少(サルコペニアといい、文字通り筋肉の喪失を意味します)は、加齢だけではなく、病気または過度の運動不足が原因で生じます。
ほとんどの高齢者には、必要な作業をするのに十分な筋肉量と筋力があります。高齢者にも優れた運動能力を維持している人は多くいます。こうした人々はスポーツで競い合い、元気に運動を楽しんでいます。しかし、どれほど壮健な人でも、加齢による衰えには気づきます。


高齢者が1日間、床上で安静にしたときの筋肉量の減少を補うためには、最大2週間の運動が必要です。

筋肉を強くするための定期的な運動により、筋肉量と筋力の減少をある程度抑えたり、またはその進行を大幅に遅らせたりすることができます。
筋肉を鍛える運動では、重力(腹筋運動または腕立て伏せ)、体重、またはゴムバンドの負荷に対抗して筋肉を収縮させます。
このような運動を定期的に行えば、運動していなかった人でも筋肉量と筋力を増強することができます。
反対に、運動をしないでいると、特に病気の間の床上安静の場合には、筋肉は大幅に衰えていきます。
運動をしない間に、高齢者では若い人に比べ急速に筋肉量と筋力が減少します。
例えば、1日間の床上安静で失われる筋肉量を補うために、最大2週間の運動が必要です。
75歳までに、体脂肪率は一般的に若い頃の2倍になります。
体脂肪が多すぎると、糖尿病など健康上の問題が生じるリスクが増加することがあります。
脂肪の分布も変化し、体幹の形が変わります。健康的な食事と定期的な運動は、高齢者の体脂肪増加を最小限に抑える助けになります。

いろいろと書きましたが、年齢関係なく、ストレッチを正しくすれば身体は硬く短くなりにくく、維持・向上につながります。!
ただ、組織はもろく、知覚が鈍っているときもあるので、ストレッチのときは
・反動をつけない
・呼吸を止めない
・痛みを我慢しない は守りましょう!
毎日コツコツとアンチエイジングをしていきましょう!